上早川の歴史と伝説 (その二十二)

上早川のお宝   ~善正寺のシダレザクラ~

文化財の“天然記念物”には珍しい樹木や巨樹なども含まれます。かつての善正寺本堂の裏に聳える「シダレザクラ」は目通りの径0.九m、樹高十五メートル前後で樹齢二百年以上と推定され、雪国には珍しい巨樹であることから、昭和六十一年に市の天然記念物に指定されています。毎年4月下旬前後の残雪に美しい花を咲かせて私たちを楽しませてくれています。

この枝垂桜(シダレザクラ)は、枝が柳のように垂れ下がって生えている桜の総称で、ウバヒガンの変種で糸桜(イトザクラ)などとも呼ばれます。その花の美しさや佇まいから、古くから日本人に親しまれ、寿命も長く日本三大桜の三春滝桜(福島県三春町・ベニシダレザクラ)は樹齢千年をこえるようです。枝垂桜の花言葉は「優美」と「ごまかし」で、前者は納得できますが、後者は枝が垂れ下がって内面を隠しているように連想させることからのようです。

 周囲に生い茂る竹の影響なのか、最近は樹勢がやや衰えてきたようにも思えますが、豪雪地の厳しい環境にあってこれだけの巨樹を今に守り伝えるには多大な努力があったに違いありません。あたり一面の残雪のなかで青竹に囲まれてピンクの花が咲く様は、まさに妖婉で、古刹善正寺の栄華を今に伝えているようです。

 (木島勉)