~神遊びの里~
今年のふれあい祭りでは筒石の水嶋磯部神社の二宮宮司らによる神楽が披露されました。もちろん春や秋の祭りで舞う神楽舞から数曲を選んでの上演でしたが、たいへん楽しい時間を過ごすことができました。残念ながらこのような神楽を早川谷の祭りでは、なかなかお目にかかれません。そこで、今回の披露を機会に「神楽」について調べてみましょう。

「神楽(かぐら)」とは清め、祓い、鎮魂をして、人間の生命力の復活をはかることによって長命を祈る芸能のことです。「かぐら」の語源は「神座(かむくら)」といわれるように、神聖な場所に神座を設けて神を迎え、その前で種々の芸能を行うもので、『古事記』、『日本書紀』の岩戸隠れの場面でアメノウズメが神懸かりして舞った舞が神楽の起源とされます。宮中で催される御神楽に対し民間の神楽を「里神楽(さとかぐら)」とも言います。能生や名立の春・秋の祭りでは、拝殿付近に設けた舞台で神楽が奉納され、最近では早川の日光寺・白山神社の春祭りで神楽の奉納が復活しています。

一般的な『古事記』や『日本書紀』などを題材とした「採物神楽」のほかに、湯立で穢れを祓い清める「湯立神楽」、獅子舞を行って悪魔払いや息災延命を祈祷する「獅子神楽」、巫女が鈴や扇あるいは榊を持って舞う「巫女神楽」などがあるようです。巫女神楽などは田伏の奴奈川神社や天津神社などでも奉納されていますし、簡略化した獅子舞は各地で行われているようです。

こうした神楽とは別に一の宮の天津神社や能生の白山神社では「舞楽」、山寺の日吉神社では「延年」の奉納が続いています。これらは古代において大陸から伝わった芸能の影響を受けたもので、大阪四天王寺や奈良春日大社などで行われ地方に普及したものです。また、山之坊では歌舞伎、能生川詰では人形歌舞伎などが昭和初期まで奉納されていたようです。

いずれにしても、かつては各神社などで様々な芸能や相撲が奉納され、氏子の春・秋の楽しみになっていたようですが、様々な事情で途絶えてしまったようです。今となってはその復活も困難ですが、早川谷にも笛や太鼓の響きにあわせた芸達者の活躍があったことでしょう。(木)
ほこんたけ通信20241210(第207号)より

