上早川の歴史と伝説(その二十七)

上早川のお宝
 ~木造狛犬(もくぞうこまいぬ)~

この木造狛犬二対は、宮平に鎮座する剣神社に伝わるもので、市の有形文化財(彫刻)に指定されています。

剣神社の木造狛犬   狛犬①②

いずれも経年の劣化と欠損が著しく①と②の対は桂材で、像高は①が三八センチ、②は四三.五センチである。一方の③と④の対は桧材で、像高は③・④とも二五センチを測る。いずれも中世末期の天文年間(一五三二~一五五四)頃までは遡れるとされています。

剣神社の木造狛犬   狛犬③④

狛犬とは、神社等の参道の左右に魔除けのために配される想像上の神獣で、一般的には向かって左が獅子、右が狛犬で、獅子は口を開いた阿形(あぎょう)、狛犬は口を閉じた吽形(うんぎょう)で角を持つとされる。この狛犬は劣化のため細かな表情までは難しいが、辛うじて口の開閉は読み取れそうです。

いずれにしても以前紹介した「永享の棟札」とともに、『延喜式』に記載された久比岐十三座の「佐多神社」推定地のひとつとされる剣神社の歴史を物語る貴重な資料と言えます。 (木島)

ほこ通 20181110より