上早川の歴史と伝説(その二十)

上早川のお宝 ~飛ぶ国宝? ライチョウ~

夏毛のライチョウ(靏本修一氏提供)

糸魚川市における国の指定文化財の件数は、佐渡市、新潟市に次いで県内三位と多く、上早川にも国・市の指定文化財が所在します。そこで、上早川の歴史を物語り、お宝でもある指定文化財を紹介します。

“文化財”と聞くと神社仏閣などを連想しますが、人類の文化的活動によって生み出された文化的所産やわが国の歴史上あるいは学術上において価値が高いものが“文化財”で、有形・無形文化財、記念物など多種多様です。

焼山や火打山などに生息する「ライチョウ」は絶滅が危惧される貴重な鳥類で“特別天然記念物”として保護され、二〇〇五年の調査では国内の高山に三千羽ほどが生息し、火打山・焼山では二十五羽が確認されています。厳しい環境で天敵から身を守るため四季を通じて保護色を呈して生きのびてきましたが、温暖化による動植物の生息範囲の変化や登山者の廃棄ゴミを漁って高山域まで進出したサルやキツネなどに捕食され、どの生息地でも個体の減少が危ぶまれています。

環境省や信州大学によってライチョウのDNA調査なども行われ、増殖も試みられていますが、まだまだ困難なようです。 いわゆる“国宝”と同格の“特別天然記念物”ライチョウが焼山の山頂近くで様々な環境変化や私たちの勝手な振る舞いに耐えながら生息していることを承知しておきたいものです。

(木島勉)

ほこんたけ通信2018.05.10号より